「優しい人が好きなの」と言われて、優しく接してあげているうちに、度を越えて彼女が段々と付け上がる・・・・そんな経験をしたことがある男性の皆さんも多いのではないでしょうか? 私が尊敬している社長さんから教わったことの1つに、「冷たさと厳しさの違い」と「優しさと甘やかしの違い」があります。
OL時代も、そして社長として何人かの社員やスタッフと接する今現在も、この微妙な違いについては、深く考えさせられるものがあります。中でも仕事で女性を扱う場合に、問題となってくるのは、「優しさと甘やかし」のケースです。私とて、できれば社員やスタッフには、優しく接したいと願っていますし、コラムをお読みの皆さんも、部下や同僚など周りの人たちに対して、優しく接したいと思う気持ちはみな同じでしょう。ところが、相手のあるコミュニケーションや、日々の仕事上のやり取りの中では、なかなかこの思いがうまく通
じない場合も多いものです。世の中には本当に色々な人がいますから、それは当然といえば当然かもしれません。
前回のコラムで、女性が働き易い職場の条件として「長期間勤務しやすい」「仕事の内容で賃金が変わる」を挙げ、働く人の環境の変化に合わせて、会社側の体制や仕事の内容を変化させていく、というお話をしました。これは会社側から言えば、働く人への「優しさ」です。ところが、このような体制を築いて社員やスタッフに提供してみると、場合によってはそれに甘える人が出てくるのです。相手、この場合は会社側に甘えて、自分にとって都合の良い部分だけを受け入れ、スキルアップや努力をしない、自己主張だけをする人を、会社が受け入れるのは「甘やかし」です。
自社スタッフの話ではありませんが、とある外注先に“急ぎの仕事ではないけれど、1週間以内にこの仕事をして下さい”という依頼をしました。本来ならば、2〜3日で十分な分量
の仕事です。が、優しさのつもりで仕事の納期にゆとりをあげると、ゆとりがあり過ぎてなのか、逆に1週間経ってもそれができていなくて、「あっ!まだやっていませんでした!」というような状況になり、それは約束を守れていないのだから、駄
目でしょう、と伝えると「急ぎじゃないと言われたから、別に良いと思いました。」と開き直って切り返されたことがあります。これには、怒りを通
り越して呆れてしまったものです。よくいう「逆ギレ」という現象ですね。
主婦や母親となった女性が仕事をするのは、環境的にはとても大変なことです。時間の制限も多々あります。家庭も大切にしたいけれど、社会から隔絶されるのは寂しいから、何らか社会と関わって仕事をしたいという女性の気持ちは、十分理解できます。しかし、そういった女性たちも「仕事をする責任」や「最低限の社会的ルールを守る」「常識の範囲内の行動」を心がけなくてはならないと私は思います。
もちろん、働く女性もさまざまで、主婦とか母というくくりで一様に特徴を述べることはできませんが、折角、会社が用意してくれた「優しい」環境にずうずうしく胡坐をかいていては、「甘やかし」として優しい環境を失くす結果
になりかねません。
(株)ラッシュ・インターナショナル 代表取締役 倉田雅美子
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